気遣い

mitsubachi

2024年03月24日 12:19



ここのところ強風の日が多いですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

今日は、そんな風の強い日の、ちょっと心温まるエピソードをお届けしたいと思います。

その日、とある保護者様が、トントンと教室のドアを叩きました。

花園みつばち教室では、基本的に生徒さんの授業が終了した後は、生徒さんが外に出て庭でお迎えを待ってもらうシステムなのですが(でも大抵、保護者様のほうが授業が終わるちょっと前に迎えにきていて、車で待機してくださっているようです。)幼児さんや低学年のお子さんの場合は、短時間といえども一人で外で待っているのは危ないので保護者様がお迎えに来たら、教室のドアをノックして貰い、直接引き渡すようにしています。

で、その保護者様は、4年生と2年生と1年生の三人のお子様を私の教室に通わせてくださっており、1年生の生徒さんが、とてもわんぱくなので、子供達だけで外で待たせるのは心配という事で、お迎えの時はドアを叩いて、来た事を知らせてくれます。

なので、保護者様のノックの音を聞いた私は、いつものように

「はーい。」

と返事をして、お子様達を引き渡す為に教室のドアを開けました。

すると保護者様が、

「先生。生徒さんの自転車が強風で倒れてしまっているんです。でも、起こしてもまたすぐに倒れちゃうといけないと思ったので、わざと起こさないでおいたんですけど…。大丈夫かしら?」

とおっしゃったんですね。

なので、自転車置場のほうに目を向けますと、確かに六年生のA君が乗ってきた自転車が、強風で倒されちゃってたんです。

ですから私は

「そうですね。倒しっぱなしのほうが良いかもしれません。お気遣いありがとうございます。」

とお礼を言いました。

そして、それから30分後、またドアがノックされましたので

「はーい。」

と出ていくと、今度は一年生のB君の保護者様がお迎えに来ておりまして、

「強風の中お疲れ様です~。」

かなんか言いながら生徒さんを引き渡し、ふと自転車置場に目をやりますと、倒れていたはずのA君の自転車が起こされていて、壁際に置かれていたんです。(花園みつばち教室の前には小屋のような建物がありまして。その小屋の壁にくっつけるように置いてありました。)

私はそれを見て

「なるほど。あの位置に置いておけば強風でも倒れないかも。B君のお父さんが起こしてくれたんだろうな。」

と思ったので、A君に

「B君のお父さんがA君の自転車を起こしてくれたみたい。ちゃんと倒れにくい位置に置いてあったよ。感謝してね~。」

みたいな事を言いました。

この件を受けまして、私は、つくづく私の教室の保護者様って優しいよな~と思ったんです。

自転車を起こしても、またすぐに倒れちゃうかもしれないからと、わざと倒しっぱなしにしておくのも思いやりですし、自転車を起こして倒れにくい位置に置いてくださるのも、また思いやりだと思います。

形は違えど、どちらの保護者様も、A君の自転車を気遣う気持ちは同じだと思うんですね。

壁際に置かれた自転車を見て

「ウチの教室の保護者の方達は優しいな~。だからウチの教室の生徒さんは優しい子が多いのかな~。」

と思いつつ、そして反省もいたしました。

なぜならば~。今回のブログに出てくる大人の中で、最も優しくない対応をしたのは私だからです。

三人(姉)兄弟が帰った直後に私はA君にこう言っています。

「も~~。なんで、こんな風の強い日に、新品の自転車に乗ってくるかね。こういう日は古いほうの自転車で来なさいよ。」

そうなんです。
実はA君の乗ってきた自転車は、中学校に入学するにあたり新調した、ピカピカの綺麗な自転車だったんです。

なので、倒れたA君の自転車を見て私が一番最初に思ったのは

「あ~~!新品の自転車が倒れてる~~!買ったばかりだろうに。傷がついちゃってたらどうしよ~~!まだ入学式前なのに~~!なんてこった~~!」

でございました。

だからA君に、思わず自分の息子に言うみたいに小言を言ったわけですけれども。そしたらA君、ちょっと口を尖らせて

「え~。でも家を出た時に風は吹いていなかったもん。」

て言うんですよ。なので

「え?家を何時に出たのよ?A君が家を出たはずの5時くらいは、とっくに強風が吹き荒れてましたけど?」

と言いますと

「家を出たのは3時くらいです。」(確かに3時くらいは、まだ風は穏やかでした。)

と言うので

「何でそんなに早く家を出たの?」

と聞きますと

「だって学研に来る前に公園で友達と遊んでたから!」

だそうで…。

まぁ元気で良いんですけどね。

で、A君とそんなやり取りをした後に、B君のお父様が、自転車を起こして壁際に寄せてくれたのを見て、私はA君に

「3(姉)兄弟のお母さんも、B君のお父さんもA君の自転車の事、気にかけてくれたよ~。二人とも優しいね~。」

と伝えましたら、私に小言を言われた時は口をとがらせていたA君が、

「へぇ。」

と言って、嬉しそうな顔をしたんですね。

何と言いましょうか、他人を気遣う善意は人の心を温かくするんだなと、改めて思ったわけです。

そして、気遣いといえば、私の保護者様も私を気遣ってくださる事がありまして。

今、教室では年に一度の保護者面談をしているのですが、面談で時々聞くのが

「ウチの子、家では本当にワガママで、全然言う事をきかないんですが、先生にご迷惑をかけていないでしょうか?」

という言葉です。

でも、私は思うんです。私に、そのような気遣いを見せてくださる保護者様が育てたお子さんが、人様に多大なる迷惑をかける人間になるわけがないと。

実際、そんなふうに私に言ってくださる保護者様のお子さんで、私に迷惑をかける生徒さんなんて一人もいません。

そりゃ、人間だし、まして子供ですから、今日はちょっとイライラしてるな~(学校やお家で何か嫌な事があると、そんな感じになるお子さんはいますねぇ。)とか、今日はあんまり集中してないな~なんて事は、たまにはありますが、そんな事は当たり前の事だと思っているので、迷惑なんて思いません。

多少の乱れは、誰にでもありますが、基本的には皆ちゃんと頑張っています。

お子さんは、気遣いを見せる(私を気遣ってくださる保護者様は、他の方にだって当たり前のように気遣っていると思いますので。)保護者様の背中を見て育っているんだと思います。

そういう保護者様の背中を見て育ったお子さんは、教室でも他の生徒さんに迷惑をかけるような事はせず、しっかり頑張っているんじゃないかと、私は思います。

だからまぁ安心してください。

お子さん、教室ではちゃんと頑張っていますから。外で頑張っている分、お家ではワガママになっちゃうという事なんだと思います。だから本当に大丈夫です。

それでは、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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