皆さんはコンプレックスてありますか?
私は、沢山あるんです。沢山あるんですが、もうこの歳になってきますと、図々しくなってきたのか、
「コンプレックスはあるにはあるけど、もう良いかな~。長年こんな自分と付き合ってきたからね~。そろそろ自分と仲良くなりましょ~。」
なとど開き直っており…。要するに、良くも悪くもコンプレックスが大して気にならなくなってきたのです。
しかし、今よりも若い時は、それなりにコンプレックスを気にして生きていた時代がありました。私だって、産まれた時から、こんなに図々しかったわけじゃないんですよ。
少なくとも30代の頃は、ちゃんとコンプレックスに悩む人生を送っていたと思います。
で、その30代の時のコンプレックスの一つが
「膨らませた風船の口を縛る事が出来ない」
だったんです。
この人は一体何を言っているんだ…。風船?そんなもん小学生だって作れるんじゃないのか?
と思った方が大半かと思います。
でも私、35歳くらいまで風船の口が縛れなくて、風船が作れなかったんです。
何で出来なかったのか自分でも良く分からないんですが。
多分、握力が弱すぎるのと、風船(が割れる事)に対して大きな恐怖心を抱いていたからかもしれません。
今の自分の握力は知らないんですが、高校生の頃は、人生で一番スポーツに力を入れていた時期だったにも関わらず、私の左手の握力は9しかなかったのです。(右手は良く覚えていないんですが、20くらいだった気がします。)
体力測定の時に9しか出せなかったから、体育の先生に
「運動部なのに、それしか握力が無いわけないだろ。ふざけてないで真面目にやれ。やり直し。」
とかなんとか怒られて
「これでも真面目にやってるんです。」
と言いながらやり直しても、やっぱり9しかなかったので、先生が驚愕していたのを良く覚えています。
だから風船の結ぶ部分を強く引っ張れなかったからなのか、それとも握力は関係なくて、単に風船が割れるのが恐くて、結ぶ部分を思いっきり引っ張れなかったからなのか、とにかく、頑張って引っ張るんだけど、結べるほどの長さを確保出来なくて、風船を作る事が出来なかったんです。
まぁ、風船って作れなくても、人生で困る事はあまり無かったので(たま~に作らなきゃいけない時は、恥を忍んで、他の人に頼んでやって貰っていました。)中々真面目に努力しようとしなかったから、出来るようにならなかったというのも大きいのかもしれません。
でも、風船なんてものは、ほとんどの大人は多分そんなに努力をしなくても作れるようになるわけですよ。というよりも、私は、私以外に風船を作れない大人なんてものに出会った事が無いのです。
もしかしたら、風船を作れない大人なんて、世界で私一人だけかもしれないという焦りは、私に大きなコンプレックスを抱かせました。
しかし、そんな私に転機が訪れました。
あれは息子が5歳くらいの時だったと思うのですが、何かの景品でたまたま膨らませる前の風船を貰ったんです。
で、息子は、私に
「ママ、風船作って。」
とせがんできました。
その時、夫はいませんでした。いれば私は、さっさと夫に風船を託したはずです。でも、その場には、私と息子しかいなかったのです。
だから私は、自分で風船を作る事にチャレンジしたんですよ。
人生で初めて、風船に真剣に向き合ったのです。
で、結構な時間、試行錯誤したと思います。
膨らませる事は出来るんだけど、相変わらず縛る事が出来なくて、あーでもないこーでもないと風船をいじり倒し、やがて私は気付いたのです。
ちょっと多めに風船の空気を抜いたら、縛る部分に余裕が出来るから、私の力でも引っ張り安くなるし、結べるんじゃないかと。
そうすると、風船の大きさは、どうしても小さくなっちゃうんですが、それでも作れないよりはマシかと思い、頑張ってチャレンジしてみました。
そしたらね。出来たんですよ。風船が。産まれて初めて風船を自分で作る事が出来たんです。
あの時の感動は今でも忘れる事が出来ません。
あの瞬間、私は長年のコンプレックスを克服したのです。
息子そっちのけで、出来たてホヤホヤの風船をブンブン振り回し、やったやった!と部屋中スキップしたのを昨日の事のように覚えています。
て、風船ごときで何を言っているんだと呆れた方も多いのではないかと思います。
本当にそうですよ…。自分でもそう思います。でも、私にとっては風船は長年の大きなコンプレックスだったんですよ。
世の中には、大半の人間が出来て当たり前の事が出来ない人間だっているのです。
でも、この時の経験があるから、私は生徒さん達に
「頑張ったら出来た!」
という経験を沢山して欲しいと強く願っているんだと思います。
で、何で私が、急に、こんなブログを書いたかと言いますと。送られてきたんです。学研の事務局のスタッフから。風船が。
ちなみに、こちらになります。
同封されていた手紙に
「よかったら教室に飾ってください。」
とか書いてあったんですが、風船はこの季節、エアコンがガンガン効いた教室に飾るのは、ちょっと大変だと思うんです。(風でフワフワ飛んでいっちゃいそうですもんね。)
でも、せっかく送ってくれましたし、何より、風船は私のコンプレックス克服の象徴というべきアイテムです。
だから1個だけ作って、教室の生徒さん達に、何日でしぼんじゃうか当てて貰うゲームをする事にしました。
一番答えが近かった子には、日頃から生徒さん達に貯めて貰っている「ご褒美シール」を沢山あげようと思います。
そして、教室の生徒さんには、何か一つでも良いから、出来なかった事が出来るようになる夏にして欲しいと思います。
もしも自分に苦手な事があったら(漢字でも計算でも文章題でも図形問題でも英語でも何でも良いんです)ちょっとでも克服して欲しいと思いますねぇ。
そして、それと同じくらい、私の息子や生徒さんには、苦手な事があったら、助けて貰える大人になって欲しいと思っています。
そりゃ何でもかんでも人に頼るのはどうかと思いますが「風船を作る」程度の事を、誰かに頼んだ時に、嫌な顔をされずに
「良いよ良いよ。それくらい、やってあげるよ~♪」
と気持ち良く引き受けて貰える大人になって欲しいと思うんです。
この「嫌な顔をされずに気持ち良く」ていうのがポイントで。
「風船を作る」程度の事であれば、優しい人なら、頼んできた相手の事を内心は快く思っていなかったとしても、
「あぁまぁ。それくらいやりますけど。」
て引き受けてくれると思うんです。(実際私は、風船を作らなきゃいけない時は誰かに頼んでいたのですが、頼んだ相手の方が、私の事をどう思っていたかはともかく、断られた事は無かったです。まぁ風船を結ぶだけですからね。)
でも、気持ち良くっていうのは、相手に、ある程度の好意が無いと出来ないと思うんですよ。
助けて貰いっぱなしじゃなくて、時には自分も助ける側に回ったり、日頃から人に優しくする事が出来ていたら「風船を作る」程度の事は、気持ち良く助けて貰える事のほうが多いんじゃないかと思います。
人に気持ち良く助けて貰える大人になるって、実は人を助ける事が出来る大人になるのと同じくらい大変な事なんじゃないかと私は思っていて。
でも、息子や生徒さん達には、そんな大人になって欲しいと思うんです。
その為には、例えば出来なかった勉強を克服するなどして出来る事を増やすのも大切だと思いますが、学研教室に通って勉強が出来るようになったからといって、それを鼻にかけて偉そうにしたり、まして出来ない人をバカにするような事はしてはいけません。
そんな事をしたら嫌がられます。
私だって、風船を作れない事は、自分でも情けないと思っていましたけれども、だからと言って人にバカにされたら嫌な気持ちになったと思います。
嫌がられれば、人から気持ち良く助けて貰う事は出来ません。
そんな事のために、私は生徒さんに勉強を教えているわけじゃないんですよ。
出来た時の生徒さんの嬉しそうな顔が見たくて、そして勉強が出来るようになったら、きっと心に余裕が出来ると思うから(出来れば自信もつくし、自己肯定感も高まりますからねぇ。)その余裕が出来た心で、他人を大切にする人になって欲しいという思いから勉強を教えているのです。
私の教室の生徒さんには、そんなふうになって欲しいと思っています。
それでは有意義な夏休みをお過ごしください。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。